第16章 実力
桐皇学園の皆を止めることができない。
『はぁ…はぁ…はぁ…。』
「終わったな。」
「さっきからもう一方的だ。」
「見てらんねぇわ。」
観客席からそんな声が聞こえた。
第4クォーター、残り5分48秒。93対53。点差は開く一方。
「もうどうあがいても無理だ。」
もう40点差。
「思ったより早かったな。もう決まりだろ。自慢のパスも通じず、体力もつき、お前の光だった火神もいない。ミスディレクションもとっくに切れた。もはや並のプレイヤー以下だ。バスケに一発逆転はねぇよ。俺の勝ちだ、テツ。」
「…まだ終わってません。可能性がゼロになるとすれば、それは諦めた時です。どんなに無意味と思われても、自分からゼロにするのだけは、嫌なんです。だから、諦めるのは絶対に嫌だ!」
『!…』
「!…」
皆が驚いた。
「…テツ君…。」
「約束したんです。火神君と、何より菜月さんと、キセキの世代を倒すと。」
「…テメェは、菜月のためにどれだけ頑張るつもりだよ。」
「…彼女は僕に希望をくれました。だから今度は、僕が彼女に希望をプレゼントする番です。」
日向が伊月を見つめた。そして、伊月に頷くと、ベンチを見た。ベンチの1年はどんよりしていた。
「げっ…!コラァ!ベンチ!!」
日向が怒鳴っていた。
「声出せ最後まで!中の選手が諦めてねぇんだぞ!黙っててどうする!」
『はい!!』