第16章 実力
黒子が青峰に何かを言われていた。そして、黒子の顔が、灰崎と戦った時の黄瀬と、同じ表情をしていた。
第4クォーター、残り9分56秒。82対51。
どれだけイグナイトパスを使っても、青峰に止められてしまう。
そして、火神も抜かれ、点を取られる。青峰が点を決めると、歓声が起こる。
「クソッ…!っ…!?」
「!…」(大我君の足…。)
監督も気づいたのか、土田と火神を交代させた。
「誠凛、メンバーチェンジです!」
「火神君。」
「なんでまた…!テーピングなら問題ねぇッスよ!」
「いいから戻れよ。」
「大丈夫ッスよ!それにまだ試合、こんなところで…」
「いいから戻りなさい!!」
監督が怒鳴った。
「なっ…!?」
「…」
すると、火神はおとなしく戻ってきた。
「…」(負傷していた足を無理にかばってプレイしていたんだ…。だから今度は、反対側の足に無理に負荷がかかって…。)
火神は私の隣に腰をおろした。頭の上からかかっているタオルでよく見えない表情。少しだけ覗いてみた。
「!…」
そして、両手で握り拳を作っていた。
火神は怒りが迸っていた。
「…大我君。」
「っ…!」
「…」(この足じゃ…この試合はもう出れない…。それどころか…残りの決勝リーグも…。)
日向が打ったシュートが決まらなかった。リバウンドも、若松に負けてしまい、若松が諏佐にパスを出して、諏佐はレイアップシュートを決めた。