第15章 彼ら
「火神君。」
「なんだよ。ちょっとは頭冷えたかよ。」
「はい、それより…。」
「ん?」
「僕は開花してからの青峰君の素行を見たことがありません。しかも、黄瀬君や緑間君同様、進化しているはずです。だから、この先の彼は未知数です。気をつけてください。」
「っは!望むところだよ。」
「…」
「…それと、菜月さん。」
「!…ん?」
「…すみませんでした。」
「え…?」
「…」
「…うん…。」
会場に着くと、歓声が起こった。
「…」
すると、汗だくの青峰が、タオルを頭から被って登場した。
「とっととやろうぜ。」
火神と向き合った青峰。
「よう。アップは済んだのかよ。」
「だから最後まで抗えよ?出来ればな。」
「これより、第3クォーターを開始します。」
ビーーッ!!
始まった第3クォーター。
進んでいく試合。
桜井が青峰にパスを出した。そして、火神との1対1。
「うーん!開始早々青峰か…!」
「…」(早々っていうか…もう…後半はほぼ青峰君中心で点を取ってくるはず…。)
青峰がボールをついた。
「!…」
すると、一瞬にして火神を抜いた。
でも、水戸部と土田がすぐにヘルプに入る。
「ヘルプが早い!」
「しかも2人だ!」
「!…」(フェイダウェイ!?)
素早いスピードから急停止して後ろに跳んだ青峰。
運動において、速さとは最高速だけではない。ゼロからマックスへの加速力と、マックスからゼロへの減速力。アジリティ、すなわち敏捷性。青峰のそれは、キセキの世代の中でもすば抜けている。