第15章 彼ら
今吉が伊月のボールを取ろうとした。でも伊月はかわし、黒子にパスを出した。黒子が走り、そのボールを思いきり叩くと、火神がそのボールを受け取った。
「!…大我君しか取れない、イグナイトパス!」
そのままダンクを決めようとするも、青峰に弾かれてしまった。
「っ…。」(バランス崩れて戻り遅れてたのに……速い…!)
ビーッ!第2クォーター終了のブザーが鳴った。
「ありゃ、終わり?あー、アップがてらサクッと1本決めるつもりだったのに。チッ、なんだよそれ…。」
『ワーーッ!』
『…』
青峰が皆の方を向き、左手の小指で耳をほじくると……。
「いいじゃねぇか、おい。10点差つけられて、どんだけ酷いかと思えば、なかなかマシじゃねぇの。」
「すげぇ、あれが青峰…。」
「めちゃくちゃ速くね?」
「素人目にも半端ねぇよ…!」
ベンチに戻った皆。火神と黒子が青峰を見つめていた。
「第2クォーター、終了です。なお、第3クォーターは、インターバル10分後の開始です。」
アナウンスが流れた。
皆が控え室に戻った。
「前半お疲れ様!後半の逆転に向けてこれ!エネルギー補給よ!」
そう言い、監督が黄色い蓋の付いたタッパーを皆に見せた。中を開くと……。
レモンまるごと、蜂蜜漬けになって入っていた。
「切ってって!切ってって!言ってるじゃんいつも!」
「ちゃんと洗ったから皮ごといけると…あといっぱい食べられるし…!」
「水戸部、ある?」
伊月がそう聞くと、水戸部がコクンと頷き、タッパーを出した。