第15章 彼ら
第2クォーター、残り30秒。49対39。
「桐皇学園、メンバーチェンジです。」
『…』
青峰に皆の視線が集まる。
そして、青峰と黒子が見つめあった。
「ようテツ、久しぶりだな。どんな顔するかと思えば……いいじゃん。やる気満々って面だな。」
「はい。桃井さんと約束しましたから。」
「ははっ!言いたいことはだいたいわかるけどな。そらプレーで示すことだろ。まあどっちにしろ、勝ってから言えよ。」
「…はい。」
「出来るもんならな。」
青峰が黒子と火神の横を通り過ぎた。
「っ…やってやらぁ…。すぐに見せてやる。」
ピピーッ!
試合が再開した。審判が諏佐にボールを渡した。
そして諏佐が桜井にパスを出し、桜井が今吉にパスを出した。でも、今吉がまた桜井に戻した。
「…これって…。」(アイソレーション。特定のプレイヤーがスペースを使いやすいように、残りの選手が片側による。…つまりこれは…両チームの…エースの1対1。)
そして……。
「!…」
青峰はニヤリと笑みを浮かべ、あっさりと火神を抜いてしまった。日向が止めに入るも、かわされてしまい、ダンクを決めようとした青峰。でも……。
「っ…!」
火神がそのボールを止め、弾き返した。
「!…」
青峰も少し驚いていた。
「…」(予想していた以上に…青峰君…速い…。)
中学の頃、最後に彼の試合を見たときとは全く別物だった。
「止めた!」
「よっしゃあ火神!」
青峰が少しよろけた。
会場にいた皆が驚いていた。歓声が沸き起こった。
「今だ速攻!!」
日向がパスを出した。伊月がそのボールを受け取るも、戻りが早かった。
『!…戻り早っ!』
「しかも、先輩達の動きは研究されてよまれてるのに…!」
「んなトロい速攻、おとといきやがれボケコラァ!」