第15章 彼ら
「生意気言ってくれるわね。ば火神が。」
そう言い、監督が立ち上がった。
ビーッ!
「誠凛、メンバーチェンジです。」
「行ってこい!!」
「うっす!!」
私も微笑んだ。でも…。
「!…」
「そうそう、張りきってくれよ?」
そう言い、火神の肩を組んだ人物。それは……。
「!…」
「少しでも俺を楽しませられるようにさぁ…。」
「テメェ…!青峰!」
火神は青峰の手を振りはらった。
会場にいた皆が驚いた。
「やっと来たか全く。はよ準備して出てくれや。」
「え~?つか勝ってんじゃん。」
第2クォーター残り50秒。49対39。
「しかも、第2クォーターあと1分しかねぇし。」
「ダメです。出なさい。」
向こうの監督がそう言った。
「っ…。」
「まぁいいけど。…菜月、しっかり見とけよ?」
「!…」
私の頭を撫でると、ベンチに戻っていった。
「じゃあ、やろうか。」
バッグをベンチに乱暴に置き、ジャージをさつきに渡してそう言った。