第15章 彼ら
「はぁ…はぁ…データがあるだのねぇだの、まどろっこしいんだよ。んなもん!全部蹴散らして跳んでやらぁ!」
「2連続!」
「うおおっ!のってきた火神!」
「いけるぞぉ!」
『いいぞいいぞ火神!いいぞいいぞ火神!』
「監督…!」
「!…うそっ!緊急事態だわ!」
監督も気づいたみたいだった。
「小金井君、至急、アップよろしく。」
「うおっ…。」
ビーッ!
「誠凛、メンバーチェンジです。」
「火神、交代。」
「は…っ…!?ちょっ…なんで俺なんだよ…!ですか…!これからって時に…!」
「いいから戻れってば。監督気づいてるぞ。」
小金井が火神の肩を軽く叩いた。
「アイツ交代?ありえねぇだろ。」
「何考えてんだ誠凛。」
「やっぱちゃんと監督いねぇとかはダメだなぁ。」
ざわざわと声が大きくなる。
ベンチに戻ってきた火神にすぐ話しかけた監督。
「痛めた足、完治してないわね。」
『!…』
「っ…大丈夫…ッスよ…!まだ、全然…!」
「病院でも異常なしだったし、別に出るなとは言わないわ。とにかく、テーピングするわよ。バッシュ脱いで。」
「っ…。」
「…大我君。」
「…んだよ…。」
明らかにイラついていた。
「…青峰君来た時に足ガクガクで、戦えなくなってもいいなら、今、出てくれば?」
「!…」
「自分でもわかってるんでしょ?今、自分やばいって。」
「…っ…!」
「はい、わかったらテーピングするから、足出して。」
そう言うと、おとなしく足を出した。