第15章 彼ら
「何言うたか聞こえんかったけど、なんか伝わったわ。」
「っ…。」
今吉が若松に思い切りパスを出した。
「うおっ!またロングパス!」
「速ぇ!てか先頭の6番センターだろ?」
歓声が起こった。
「個人技重視のウチのスタイルと、連携重視のそっちのスタイル。どっちが上か決めよか…!」
「さっき全員一丸とは言ったけど。」
「んえ?」
「よく忘れられる奴がいるんスよ!」
黒子が若松の後ろを走っていた。
「!?…速ぇ…!」
黒子がジャンプをしてボールを取ろうとした。
「でも低~い!」
監督が言った。
「ったく、慣れねぇことすっからだ!アホ!」
火神がボールを取った。
「たっか!」
「!…」(凄い…。)
火神が伊月にボールを戻した。
2人で何かを話していた。
「…」(やっぱ…似てる…。)
比べてしまう癖を、直したい。そう思っているけど、火神がそっくりすぎて、直る気がしない。
*
その頃、黄瀬も見に来ていた。
「ありゃ、ま~た遅刻ッスわ。しかもまた負けてるし。…ん?」
「…」
誰かに気づき、黄瀬が声をかけた。
「緑間っち。」
「!…黄瀬!?」
持っていたビックリ箱が反応し、中から何かが飛び出した。
「なっ…なぜ気づいたのだよ。」
「アホッスかサングラスって…恥ずかしいから速攻外してほしいッス。」
「何…!?」
「しかもなんスかその箱。」
そう言い、持っていた箱を指差した。
「今日のラッキーアイテムに決まっているのだよ。」
「…」
瞬きをして緑間の隣に立った。
「あれスか。見たくないとか周りには言ったけど結局来ちゃったみたいな…。」
「適当なことを言うな!近くを通っただけなのだよ!」
「家真逆じゃないスか。」
「…」