第2章 黄瀬と灰崎
「…い、嫌ッス!菜月っちは俺のも」
「あぁ?」
「いいから離すのだよ、黄瀬。」
「そうですよ、黄瀬君。離してください。」
やっと体育館に笑いが起こった。
そして……。
「お疲れ様。征君。」
「あぁ、ありがとう。」
私に微笑んで、スポドリとタオルを受け取る。そして一緒にいた緑間にも渡す。
「そうだ、真ちゃん。」
「…その呼び方やめろ、菜月。」
「えぇ…いいじゃん、可愛いし、呼びやすいし。真太郎って呼びづらいし長い。」
「可愛くない、そして人の名前を悪く言うな。」
「ゴメンって、真ちゃん。…じゃあ、真君?」(怒ってる…?)
「…許そう。」
「おぉっ!じゃあ、真君で。あ、大輝!」
「!…菜月!」
「お疲れ様。」
スポドリとタオルを渡す。
「サンキュ!」
汗を拭く青峰。
「あ!あっくん。」
「なつちん、はい、これ、ピザポテ。」
「!…美味しそう、いただきます。」
「菜月、部活中だ。」
「!…ご、ゴメン…征く……美味しいっ!」
「でしょでしょ~?」
そして、吐きそうになっている黒子の背中をさすり……。
「黄瀬君、もう休憩したらどう?」
「あ、菜月っち!」
ぶんぶんと尻尾を振って、私に抱きつこうとする。でも、それを周りの人に止められる。
「お疲れ様、黄瀬君。」
スポドリを渡すと、汗を拭くよりも先に、スポドリを口の中に流しこむ。