第15章 彼ら
「キセキの世代も、初めから並外れていたわけじゃありません。ただ…青峰君はその中で、1番早く、そして突然、開花しました。」
*
「すっげぇ青峰!」
「1人だけぶっちぎってる!」
「あんなの誰も止めらんねぇよ!」
レイアップシュートを決めたり、ダンクを決めたり…。
試合が終わる頃には、173対51。およそ相手の3倍、点数を取っていた帝光中。
部活の帰り道、青峰が棒のソーダアイスを私と黒子にくれた。
「ほらよ。」
「青峰君、最近、練習休むことが増えましたね。」
「あぁ…いーんだよ。練習したら上手くなっちまうだろ?」
「え…。」
「頑張ったら頑張った分だけ、バスケがつまんなくなってくんだよ。きっと、俺の欲しいもんはもう…。」
また、黄瀬と緑間は…。
「最近の青峰っち、強すぎてヤバくないッスか?あんなんだと、バスケが楽しくてしょうがないッスよ、きっと!」
「…むしろ逆な気がするのだよ。」
「え…?なんでッスか?」
「アイツは誰よりもバスケが好きであるがゆえに、誰よりも欲しているものがある。自分と対等に勝負が出来るライバルだ。だが今のアイツは強すぎる。ライバルどころか、周りと差が開きすぎてしまったのだよ。……圧倒的に…。」
そして、黒子と青峰は…。
「バスケなんて結局遊びだしなぁ?これからは、試合も適当に流して…」
「それはダメです。」
「うほぉっ!?」
歩道橋の階段を下りているとき、黒子が食べかけの棒アイスを青峰の背中に入れた。