第2章 黄瀬と灰崎
青峰も言っている。
「はぁ…はぁ…はぁ…。」
息がきれている黄瀬。
「まだだ…。まだ終わってない!」
バッシュと床が擦れる音がする。
「何度やっても同じだ!」
そして、また黄瀬を追い抜いていく灰崎。
「!…」
「ものが違ぇんだよ。」
また点を決められる黄瀬。
絶望的な顔の黄瀬と、上から目線の灰崎。
「まあさすがに、まだ早すぎたな。」
後頭部をかきながらそう言う青峰。
「お菓子買ってこよ~っと…。」
「まだ練習中ですよ、紫原君。」
「うるさいなぁ…ひねり潰すよ?」
3人は、もう2人に視線を向けていなかった。
「黄瀬の成長速度は、確かに驚異的だが。」
緑間がそう言うが、赤司はまだ2人から視線を離していない。
「祥吾君!練習終わった~?」
体育館に化粧をした肩くらいの茶髪の女子が入ってきた。
「あぁ、悪い悪い、今終わったわ。」
そう言いながら、その女子に近づく灰崎。そして、手をのばす。
「きゃっ!ちょっ、汗だくじゃん。」
「すぐシャワー浴びっから、ついでに一緒に入る?」
「ヤダ~!もう~!ふふっ!」
「ははっ!」
「あの野郎…。」
「え…あれって……最近できた黄瀬の彼女じゃ……?」
部員の人が言う。
「ん?あれ?涼太君?」
「ああ、アイツ俺に勝負挑んできて負けたとこ。」
四つん這いになっている黄瀬を見て、そう言った灰崎。