第2章 黄瀬と灰崎
目をそむけていても、少しだけ震えてしまった。
「菜月。」
「!…だ、大輝…。」
「怖かったら、俺にくっついてろ。」
「あ…あり…がとう…。大丈夫…。」
微笑んだけど、恐怖は消えない。でも、青峰が無言でそばにいてくれて、安心する。
すると……。
「あ?今なんつった、涼太。」
「だから、スタメンの座を懸けて勝負してくれって言ったんッスよ。」
「ついこないだ入った奴が寝ぼけてんじゃねぇよ。そもそも練習中だって俺に勝てねぇのに、どういうつもりだ?」
「他の4人ならまだしも、祥吾君ならそろそろいけるっしょ。」
「はっ…。なめられたもんだぜ。練習なんて適当に流してるに決まってんだろ。」
そう言うと、親指の腹を舐める。
2人を見ていた赤司や緑間、他の人達は何も言わなかった。
「いいぜ、じゃあちょっと本気で相手してやるよ。」
灰崎が言った。
「いいのか?赤司。」
緑間が赤司に聞くと、赤司は無言で頷いた。緑間の方に視線も向けず、ただ2人を見ていた。
2人に注目が集まる。青峰や黒子、紫原ですら、2人を見ている。
バンッ…バンッ…!
黄瀬がボールをつく。
すると、灰崎にあっさりボールをとられてしまう。
そしてそのまま、灰崎はダンクを決める。黄瀬は、ついていけなかった。
何度も何度も行うけど、抜かれてダンク。シュートを打っても、防がれてしまう。
2人から視線を離さない皆。
「あ~らら、全然ダメじゃん、黄瀬ちん。」
「いや、初心者にしちゃ出来すぎなくらいだ。単純に強ぇんだよ、ムカつく野郎だが、それと実力は別だからな。」