第13章 道のり
「美味しいです。」
「良かった。」
黒子がそう言ってくれた。
「火神君…火神君…。」
「んぁ…?」
「これ、食べて。」
「…?」
「レモン。」
「あ。」
「え…?」
口を開ける火神君。
「…」(食べさせてくれ…ってこと…?)
「自分で食べてください、火神君。」
ハチミツのレモン漬けを5枚くらいまとめて口に入れた黒子。
「ふぉい…ふろほ…!」
そんなこんなで…秀徳との試合の時間も近づいてきた。
「っ…ちょ、ちょっと…行ってきます…。」
「え!?もうすぐ試合始まるわよ?また誰かにご挨拶?」
「い、いえ…あの…。」
「…!お手洗い?」
「はい…っ…い、行ってきます…!」
我慢の限界。ずっと仕事をしていて、トイレに行けなかった。
「あ~あ、このあとにまた試合か…。」
「っ…!」
「!…わっ…ご、ゴメン、大丈夫!?…って、菜月ちゃん?」
「あ…た、高尾君…。ゴメン…前、見てなくて…。」
「俯いてどうしたの?」
「っ…と……れ…。」
「え?」
「っ……トイレ!」
私はすぐにトイレに向かって走っていった。
「…っ…はぁ~っ…スッキリした…。高尾君に悪いことしちゃったかな…。」
「べ~つに。」
「わっ!?」
「ははっ!いい反応。驚いた?」
「う…ん…。どうして…まだここに…?」
「ん?いや、もう皆行っちゃったし、教えてあげた方がいいかなーと思ってさ。」