第13章 道のり
ピピーーッ!
「あっちも終わったみてぇだな。」
「そうですね。」
「113対38、秀徳!」
『ありがとうございました!!』
遠い距離から見つめ合っている4人。緑間と高尾と黒子と火神。
「…菜月さん。」
「ん?」
「…やっと、彼と試合ができますね。」
「う、うん…?」
「…」
「……正直言って…怖いんだ。」
「え…?」
私は黒子に話した。火神も聞いてくれているみたいだった。
「…もし、緑間君に負けたら、緑間君は…何も変わってくれないままかもしれない…。また先輩達が…バスケを辞めようとしてしまうかもしれない…だから」
「んなことねーから、安心しろバカ。」
「!…」
クシャッ!と私の頭を撫でた火神。
「なん…で…?」
「負けねぇから。」
「!…」
「そうですよ。菜月さん。僕達は、負けません。」
「…うん!」
それから……。
「体が冷えないように、すぐ上着着て。ストレッチも入念にね。それから、疲労回復にアミノ酸。カロリーチャージも忘れずに。あと、順番にマッサージに行くから、バッシュ脱いでて。」
「ん?」
火神が座ったまま寝ていた。
「ちょっ…コラ…!火神!寝てたら体固まっちゃうでしょうが!」
「まあほっとけよ。」
「え…。」
「アイツ珍しくへこんでいたからな。」
「4ファウルで抜けたからだろ?気にすることねぇのに。」
私はバッグの中からタッパーを出した。
「食べますか?ハチミツのレモン漬け。」
「おっ!貰う貰う!」
「さすが!菜月!」
次々に手が出てくる。