第13章 道のり
ピピーッ!
「チャージング、白10番。」
火神が津川にぶつかり、審判がそう言った。
「なっ…!?」
「あのアホは…!どんだけ頭に血がのぼりやすいの!」
「火神!落ち着けぇ!」
「…」(火神君…ファウル2個目…。パスも上手く繋がらない…パスコースがない…。どう…すれば…。)
兄に聞いておけば良かった、と少し後悔した。
ピピーッ!
「正邦は古武術を使うのよ。」
「古武術!?ウァチョウ!!みたいな?」
「それ古武術違う。」
クリップボードで顔を隠し、私は声を殺しながら笑った。
「んじゃなくて、古武術の動きを取り入れてるの。その技術の1つに、ナンバ走りっていうのがあるわ。普通は、手足を交互に振って走るけど、ナンバ走りは、同じ側の手足を振って走る。」
「…」(なるほど……捻らないことで、体の負担が減って…体力の減りも少なくなる…ってことか…。)
私は紙にメモをした。
「…テツ君。」
「どうかしましたか?菜月さん。」
黒子のそばに行き、後ろから話しかけた。
「…津川…君…って、中学の頃、戦ったことあったよね…?黄瀬君が…相手してた…。」
「はい。」
「…ディフェンス、もっと強くなってるね。」
「そうですね…。」
そう言い、何か考えこんだ黒子。
「ナンバ走りの他にも、踏ん張らずに力を出したり、タメを作らずに速く動いたり、いろんな基本動作に、古武術を応用してる。それが、正邦の動きなのよ。」