第13章 道のり
「あとは勝つだけだ!行くぞ!」
『おおっ!!』
控え室を出て、コートに向かう最中…。
「ん?どうかしたか?」
「…火神君は、バスケを嫌いになったことありますか?」
「は…?いや、ねぇけど…。」
「僕は…あります。」
「!…テツ君…。」
「んあ?」
「理由は違うと思います。でも、気持ちはわかります。今はあんなに明るいけど、好きなものを嫌いになるのは、凄く辛いです。」
「…」
「緑間君と話した時、過去と未来は違うと言ったけど、切り離されているわけじゃありません。この試合は、先輩達が過去を乗り越える、大事な試合だと思うんです。だから…。」
「…」
私は持っていたノートとクリップボードに力を入れた。
「それではこれより、Aブロック準決勝第1試合、誠凛高校対、正邦高校の試合を始めます。」
そして始まった試合。
6分22秒で、0対12。圧倒的な差。負けている誠凛。
「おぉっ!すげぇ圧力、なんだアイツ!」
ディフェンスが強い。
「…っ…。」
負けている試合、まだ第1クォーターだというのに、焦ってしまう。
「…」(中学の頃は…こんな焦りも…なかった…。)
でも、負けているから焦っている、というのもそうだけど、これで負けたら、秀徳と…戦えなくなってしまうから。そう思うことが何より焦りに繋がった。
伊月がレイアップを打とうとしたけど、防がれてしまう。
「誠凛、まだ点が取れない…!すげぇ…。」
「何やってんスか…もう…!」
「ん…この前やって思ったけど、誠凛はスロースターターっぽいな…。けど、そこでいつも初っ端アクセル踏みこむのが火神なんだが…。そいつがまだこねぇから、なおさら波に乗れてねぇ…。」
黄瀬と笠松も観戦していた。