第13章 道のり
コートに戻ると、皆がいなかった。
「…控え室か…。」
そして…控え室に入った…のだけれど…。
『…』
皆、シーンと静まり返っている。
「…」(皆…硬くなってる…。)
すると、監督が手を叩いた。
「全員ちょっと気負いすぎよ。元気が出るように、1つご褒美考えたわ。」
皆が監督の方を向いた。
「ンフッ!次の試合に勝ったら、皆のほっぺにチューしてあげる!どうだ?」
そう言いウインクをする監督。
「うふ…ってなんだよ…。」
「星出しちゃダメだろ…。」
すると、落ちこむ監督。
「バカ野郎!義理でもそこは喜べよ!」
「義理…って…。」
ますます落ちこんでしまった監督。
「フ…フフ…フ…ガタガタ言わんとシャキっとせんかぁボケェ!!去年の借り返すんだろうが!えぇ!?おい!!」
監督が怒鳴っている。
「悪ぃ悪ぃ。わかってるよ…。」
日向が言った。
「監督…どうぞ。」
涙目の監督にハンカチを渡した。
「あ…ありがど…。」
「おっしゃあ、行く前に改めて言っとく。試合始まればすぐ体感するけど、1年はちゃんと腹くくっとけよ。正邦は強い。ぶっちゃけ去年の大敗で、俺らはバスケが嫌んなって、もうちょいでバスケ辞めそうになった。」
『…』
「なっ…暗くなんな…!立ち直ったし、元気だし、むしろ喜んでんだよ!去年と同じには絶対ならねぇ。それだけは確信できるくらい、強くなった自信があるからな!」
そう言い、ニカッ!と笑った日向。