第13章 道のり
次の日…。
部の皆と、教室で正邦の試合のビデオを観ていた。
「わかってたことだけど…正直やっぱ厳しいな…。」
「てか、すまん…。また泣きたくなってきた。」
「はっきり言って、正邦秀徳とも、10回やったら9回負けるわ。でも、勝てる1回を今回持ってくればいいのよ。」
「あのさぁ。」
「ん…?」
「作戦ってほどじゃないけど、1つ思いついた。」
「…」
そして……。
「…」(あれが…正邦…。)
黒いTシャツにユニフォームまで黒い。
しばらく正邦を見つめ、私は試合の準備をした。
「…!」
観客席でこちらに手を振る人が見えた。
「お、お兄ちゃん…!?」
思わず声をあげてしまった。
でも、そんなに大きな声ではなかったから、誰にも聞かれていないみたいだった。
「すみません監督、少し行ってきます。」
「え!ちょっと!」
走って会場を出た。
外で待っていた俊太。
「どうしているの!?」
「どうして…って…観察?秀徳との試合ももちろん観戦するけど?」
「答えになってないよ…!」
「いいじゃん、別に。それに…興味がある。」
「…?」
「黒子…?と、火神。」
「あ…。」
「だから観てく。OK?」
「…試合始まるからもう行くね…。」
「ちょっ…!無視しないで!?」