第12章 秀徳と誠凛
「…わからんな。昔のお前は、そんな人間ではなかったのだよ。変わったな、黒子も、お前も。」
「…」
「…」
「…そう…だね……っ…もう家に着くから、電話切るね。」
「ああ。」
私は電話を切った。嘘。家にはまだ着かない。でも、これ以上、彼と話していると、いろいろ考えこんでしまいそうで怖かった。
しばらく歩いて、家に着いた。
「ただいま…。」
「あら、おかえりなさい。ご飯は?」
「…食べてきた。」
嘘をついてしまった。
「そう…?あ、ねえ、俊太知らない?」
「…さあ?会ってないよ?なんで?」
「もうそろそろ帰ってくるはずなんだけど…。今日は早めに帰ってくる。って言ってたのに…おかしいわね…。」
「…」
「おかしいわよねぇ~?」
「……探して…みようか…?」
「本当!?助かるわぁ~!」
「…」(わざとらしい……。)
着替えて、携帯と財布を持ち、外に出た。もう外は暗かった。
「…どこにいるんだろう…。お母さんも…電話かければ良かったんじゃ…。」
そう呟き、電話をかけた。
「もしもし?」
「あ、繋がった。」
「どした?」
「今どこにいる?」
「今?いつものバスケットコート…っと!」
「…」(バスケ…しながら電話してる…?)
「なんで?」
「お母さんが心配してたよ?早めに帰ってくるのにって。」
「あー!忘れてたわ。」