第12章 秀徳と誠凛
「クソ兄貴、最低。」
「!…お兄ちゃんにそんなこと言わないで!?泣くよ!?」
「泣け。」
「菜月~!」
電話の向こうで泣いている兄。
「…」
ブチッ…!
電話を切った私。
それから…放課後になった。
「忘れ物してしまったので…校門で待っていてもらえますか?」
「うん、わかった。」
黒子は部室へ向かった。でも、いつまで経っても出てこない。しばらくして、メールが来た。
火神と正邦のビデオを観るから先に帰ってくれ。ということだった。
「…」
帰り道、歩いていると、電話がかかってきた。
「!…緑間君…。もしもし…?」
「菜月か。」
「う、うん。」(私の携帯だからね…。)
そこはあえて言わなかった。
「え!?菜月ちゃんと話してんの?俺にも代わってよ~!」
「うるさい高尾。」
緑間は高尾と一緒にいるみたいだった。
「高尾君がいるの?」
「いないのだよ。」
「ちょっと、真ちゃ~ん!」
「うるさい、黙れ高尾。俺は菜月と話をするのだよ。」
「えぇ~!だ~か~ら~!俺にも代わってって!」
「み、緑間君…?」
「…決勝は、やはり誠凛ではなく正邦になると、高尾が言っている。」
「…うん。」
「正邦の壁も壊せないのなら、俺達と戦うなど無理なのだよ。」
「…わかってるよ。だから、壊すんだ。その壁を。」