第12章 秀徳と誠凛
「…探しに行こうとしたけど、帰っていい?」
「え~!来ない?」
「…行ってもいいけど…。」
「ん、サンキュ。久しぶりに観察してみてくんない?俺の動き。」
「休日にやった気がする。」
「いいじゃん、細かいことは。」
「…すぐ行くよ。」
「!…よっしゃ!じゃあ待ってるわ。」
電話が切れた。
私は、歩いていつものバスケットコートに向かった。
「お!来た!」
「…1人じゃん…。友達」
「います!」
「…まだ何も言ってないよ…。」
「言いそうだったから。」
「…お母さんに電話しないと…。」
「あ~。」
兄が携帯で母に電話をかけた。
「あ、うん、ゴメン。あー…えっと…うん…はい、んじゃね、はーい、え?あ…いらない。うん、じゃね!」
「…なんて?」
「心配したんだからね、とか、ご飯いる?とか。」
「ふ~ん…。」
「興味なさそう…。ま、いいや、始めようか。」
「外出てたから、ノート持ってないよ?」
「口で言ってくれればいいよ。」
「そういう問題じゃない。」
「え~…。」
それから、シュート力やジャンプ力など観察していった。
「…跳ぶタイミングが早い。あと、シュート打つ時に、ちょっと前のめりになってる。」
「わかった。」
兄は、私の言うことを文句1つ言わずに聞いてくれて、それをちゃんと実行している。
「…今日はもう終わりにしようか。」
「え!?もう!?」
「…帰りたい。」
「…わかった、今日は見てくれてありがとな。」
私の頭をクシャッ…と撫でた。
「…ゴメンね…。」
「ん~?」
「…なんでもないよ。」