第12章 秀徳と誠凛

「え？誰ですか？彼女さんですか？」

「先輩～！」

「あ～、ちょっとゴメンね…。」


近くに女の子が2、3人いるらしい。


「あ、あぁ、妹。」

「へぇ～！お話したいです！」

「え…あ…それはちょっと…。」

「…」


こんなことは多々ある。だから喋らず、しばらく待つことにしている。待てなくなったら切る。


「…はい、ゴメン。今、周りに誰もいないからいいよ。」

「…どうしたの？女の子達。」

「あー、校舎の中、ちょっとだけ走って、空き教室にいる。」

「だからちょっとうるさかったんだ…。」

「ゴメン。」

「ううん。」

「それで、どうした？」

「…今度、正邦と試合することになったんだ…。」

「…正邦？」

「うん。」


兄がしばらく考え、声をあげた。


「あぁ、秀徳と、泉真館ともう1個の高校んとこか。」

「そう。それで…その…。」

「…」

「…正邦は…とても強いらしくて…ここを勝たないと、秀徳とは…戦えない。だから…何かいい手はないかな…って…。」

「俺から言うことはあまりできないけど…。」

「うん…。」

「……やっぱやめた。」

「…え…？」

「ビデオとか見てみると、結構弱点とかある。それ見て、自分で解析するんだな。」

「え…お、教えてくれないの…！？」

「考えないと意味ないだろ。それに、正邦の前にもう1校、試合しないとだろ？そこに勝たないと話は進まないし。まぁ、秀徳との試合、やることになったら、アドバイスしてやらんこともない。」