第12章 秀徳と誠凛
「そうなんですか?」
「!?…いや知んねぇよ。つかお前の方がわかんだろうが。」
「…」
相手チームが声を張りあげている。
「さぁ、彼が外したとこ、見たことないんで…。」
「!…」
すると、緑間にパスが渡った。もちろん、3Pゾーンでシュートを打った。
皆が天井を見る。
「っ…。」
「…菜月さん…?」
緑間はシュートが入るところも見ずに高尾を連れて戻ろうとしている。
残り約3分。秀徳、45、錦佳、8。
「緑間君は、フォームを崩されない限り、100%決めます。」
「マジかよ…!」
「えげつないシュート打つなぁ…。」
「ゴールに入る前にディフェンス戻ってるし…。カウンターできなくね?」
水戸部も頷いた。
「着弾までの時間が異常に長い…。こりゃ精神的にはくるわね…。」
何度も、何度も…3Pゾーンからシュートを打つ。
「すげぇ、100発100中!」
「これがキセキの世代No.1シューターの力か!」
第4クォーターが終わり、秀徳、153、錦佳、21。
「うわぁ…圧倒的だなぁ…!今年の秀徳は!」
「強ぇぇ!」
コート内を歩いている緑間。わざわざ止まり、私達を見つめた。
「…」
「…」
しばらく、緑間を見つめていた私。
皆が体育館を出て、廊下にいるとき、私は1人、別のところにいた。皆にも、黒子にも火神にも伝えていない。