第12章 秀徳と誠凛
緑間君は、また止まった。
「黒子、教えてやろう。お前の考えが、どれほど甘いか。」
『秀徳!秀徳!秀徳!』
秀徳の試合を見に来た私達。
「…」(緑間君が何か言ってる…。落ちこんだ…?あ…テーピング外した…。)
そして、始まった試合。誠凛の皆の視線が秀徳の動きに合わせて動く。
高尾へパスが出され、2人を抜いた。そしてシュートを打つと見せかけ、大坪にパスを出した。
第2クォーター。残り4分で、秀徳が38、錦佳が8。
「第2クォーター残り4分で、もう30点差…さすがって感じね…。」
「フンッ!」
「でも、やってることは俺らとあんま変わんないのに、なんかすげぇ簡単そうに見えるよな。なんでだろ…。」
「ミスがねぇからだよ。」
『!…』
「バスケってのは、常にハイスピードでボールが行き交うスポーツだからな。けど強いとこってのは例外なく、投げる、取る走るみたいな当たり前の動きからキッチリしてんだ。簡単そうに見えるってのはつまり、基本がガッチリ出来てるってことだよ。ま、あくまで基本だ。それ以上の理由が当然ある。それは……。」
跳ね返ってきたボールをそのままダンクした大坪。
「絶対的な得点源。スコアラーがいるってことだ。」
『おおぉぉっ!!』
2人を破り、ダンクを決めた。
何かを言い、ちゃんと倒れた相手選手に声までかけている。しかも手を差しのべているし…。
「!…すっげえダンク。」
「マジあれ…高校生?」
「また1段と力強くなってるわね。」
「去年アイツ1人でも手に負えなかったんだけどな…。」
「そう、インサイド大坪肢体で、アウトサイドは普通っていうのが去年までの秀徳。けど今年は……。」
「今んとこ5本中5本か。緑間は随分調子良いみてぇだな。」