第12章 秀徳と誠凛
「フンッ…!リベンジ。随分、無謀なことを言うのだな。」
「あ?」
メガネをかけ直す緑間。
「誠凛さんでしょ?てか先輩から何も聞いてねぇの?誠凛は去年、決勝リーグで3代王者全てに、トリプルスコアでズタズタにされたんだぜ?」
「!…」
『…』
「息巻くのは勝手だが、彼我の差は圧倒的なのだよ。仮に決勝で当たっても、歴史は繰り返されるだけだ。」
「いえ…。」
いつの間にか、黒子が後ろにいた。
「過去の結果で出来るのは、予想までです。勝負はやってみなければわからないと思います。緑間君。」
「黒子。やはりお前は気に食わん。何を考えているのかわからん。目が特にな。言いたいことは山ほどあるが、ここで言っても虚しいだけだ。まずは決勝まで来い。」
「…」
「いやぁ、言うねぇ。あれっしょ?君達、真ちゃんの同中っしょ?」
私もまきこみ、高尾が喋った。
「気にすんなよ。アイツツンデレだから。ホントは超注目してんだぜ?なんたって予選の1回戦まで観に行ったん」
「いつも適当なことを言うな、高尾。そして菜月から離れろ。」
「そんなに好き?この子のこと。」
「!…」
「…別に。」
「…」
「いつまで喋ってる!準備しろ!」
「へーい。」
2人は戻ろうとした。
「緑間君。」
「…」
私が呼び止めると、緑間が止まり、振り向いた。
「…去年、トリプルスコアを取っただとか、そんなことは知らない。でも、今年はそうはいかない。」
「…フンッ…。」
鼻を鳴らし、行ってしまった。
「何か黒子君に言われちゃったんだけど…。」
「まぁいいじゃん。俺らが思ってることそのままだし。」