第12章 秀徳と誠凛
『!…』
「来たみたいだな。」
「口で言うより、実際に目にしてみるのが、1番よね。」
オレンジ色のジャージを着た人達が入ってくる。
監督は立ち上がって言った。
「特に1年、覚悟しておきなさい。今日はスゴイもん見れるわよ。今年は特に凄いらしいから。」
『…』
皆の視線が集まる。
「東京都3代王者の1角、秀徳高校。」
それから……。
『秀徳!秀徳!秀徳!秀徳!秀徳!』
応援が会場に響く。
「出たな…。」
「ちょっと挨拶行ってくるッス。」
「あぁ……えっ?あ…おいっ!」
火神が緑間の前へ行く。
「ちょっ…!火神君…!」
私も火神を追いかけた。
「よう、お前が緑間真太郎、だろ。」
「そうだが…誰なのだよ、君は。」
「ブッ…!ククッ…。」
後ろで笑う高尾。
「あ!君、菜月ちゃんじゃん!久しぶり~ぃ!」
「!…えっと…高尾…君…?」
「そうそう。」
「おい、高尾。」
「いーじゃん、ちょっとくらい。」
すると、火神が緑間の前に手を出した。
「ん?握手か…。」
「フッ…。」
「はぁ…。」
わざわざ熊のぬいぐるみを持ち替え、握手をしようとした。でも……。
キュッ…。
掌には黒いマジックで、せいりん10ばん、火神大我。と書かれていた。
「なっ…!?」
「普通に名乗っても、いかにも覚えてないとか言いそうな面してるからなお前。先輩達のリベンジの相手には、きっちり覚えてもらわねーと。」