第12章 秀徳と誠凛
「アイツらこないだの…。」
「今年は俺達がボッコボコ…うおっ…?」
火神が相手選手にわざとぶつかった。
「よう…また会ったな。」
「げっ!?」
「こんにちは。」
黒子もひとさし指でボールを回転させながら挨拶をした。
『!?…』
「ボコボコにされますね……。」
ピピーーッ!
対、明常学院。なぜか腰引けっぱなしの相手を、108対41で瞬殺。
「調子良いッスよね!」
「このまま予選突破して、決勝リーグまで簡単に進めるんじゃないッスか?」
「あ~まい甘い。」
「若いもんはのんきでいいねぇ。」
『…』
「決勝リーグを経て、選ばれる東京都の代表3校は、ここ10年同じ。東の王者、秀徳。西の王者、泉真館。北の王者、正邦。力が拮抗しているから、1位は毎年変わるが、4位以下は寄せつけない。東京不動の3代王者だ。次の5回戦を勝ち抜き、準決勝へ進み、さらに決勝戦、その決勝で俺達がぶつかる相手は…おそらく……キセキの世代、緑間真太郎が加入した東の王者、秀徳高校。」
「!…」
「けど、先輩達も去年、決勝リーグまで行ったんスよね?」
『…』
「…まあ、手も足もでなかったけどな。」
「っ…。」
皆、何かを思いこんでいるようだった。
「…」(真…君…。)
私は拳を握りしめた。
「3代王者ね…。」
火神がそう呟いたあとだった。
「お!」
「来た来た…っ…。」
観客が騒がしくなった。