第11章 お父さん
「すみません、監督。ちょっと行ってきます…。」
「え…?あ、ちょっと!…もうっ…!また…!」
私はクリップボードを持ったまま、外に出た。
「緑間君。」
「!…菜月か…。何の用だ?」
「…試合…見に来てくれてたんだ…。」
「…気が向いていただけなのだよ…。」
「……どうだった…?試合。」
「どうって言われても、俺からは何も言えないのだよ。」
「そっか…。」
「…」
「…」
また、沈黙が走る。
「ありがとう。わざわざ…気が向いただけでも見に来てくれて。」
「…フンッ…。馬鹿を言うな、礼を言われるほどのことではないのだよ。」
「!…」
中学の頃と、性格はあまり変わっていなくて……。
「ははっ!」
私は笑ってしまった。
「!…なっ、何笑っているのだよ…!//////」
少し、顔が赤かったような気もした。
「頑張って、緑間君達にも勝つよ。」
「できるわけないだろう。」
「やってみなきゃわからないよ。」
「……お前は、秀徳に来る気はなかったのか…?」
「え…?」
「…なぜ誠凛を選んだのだよ。」
「…ただ…単純にまた…バスケがやりたかったから…。帝光でやっていたバスケじゃなくて……もっと違う……心の底から楽しいって…思えるようなバスケをしたかったから。」