第11章 お父さん
目をつぶり、監督が続ける。
「とどのつまり、火神君がお父さん相手にどこまで踏ん張れるか。それに尽きるわ。」
「任せろッスよ。」
休憩が終わり、試合が再び始まった。
パスで、お父さんにボールがいく。
シュートを打つお父さん。火神がそれをブロックしようとするけど、届かない。
「うおっ…!?」
点が入る新協学園。
「やっぱすっげ…。」
「何か、また高くなってね?」
「もう本気、負けない…!」
「ははっ!そうこなくっちゃなぁ、テンション上がるぜお父さん!」
7分50秒で、12対24。誠凛がまだ勝っている。
日向がシュートを打った。
「短い…。」
私は呟いた。
火神がお父さんの前に立つ。
「このっ…!」
火神がバスケットボールを取る。そして、再びリングに入れた。
点が決まった。
「オッケー!ナイッシュー!」
「ナイスリバン!」
「ひっ…ひひっ!」
「くっ…。」
「ん?」
監督が何か違和感を感じた。
「パパ、気にすんな!ボール回すぞ!」
お父さんにボールがパスされるけど、火神のブロックが高く、シュートが決められない。別の人にボールをパスしたお父さん。
「どうしたパパ!」
「ん~?」
「もう1度だ、パパ!」
何度も何度も、シュートを打とうとするけど、火神のブロックは高くなっていく一方。
「…監督、火神君。ジャンプ力が…。」
「ええ…。凄いわ…。」
「うおおおおっ!!」
「すげぇな火神。堪えるどころか、全然負けてない。特訓の成果、出てるみたいだな。」