第11章 お父さん
お父さんがシュートを打つけど、なかなか入らない。
「そう簡単には入らないわよ。なんたって、火神君がお父さんに自分のプレイをさせてないからね。」
「…」
今日はクリップボードに挟んだノートに書いた。誠凛高校で使っているノート。まだ、8ページ目しか書いていない。
「自分のプレイを?」
「届かなくてもやり方はある。水戸部君直伝のね。」
「あ…この前…練習でやってたやつですか…?」
「そう!」
「…」(自分より大きい相手を封じる方法、みたいな…。シュートを防ぐのはブロックだけじゃない。落とさせる。)
今の火神がお父さんにやっている事が練習でやっていた事と同じ。
「やりたいことをさせない。行きたいとこへ行かせない。そうやって、相手の苦手な体勢に追いこんで、プレッシャーをかけて、楽にシュートをさせない。」
お父さんがまたシュートをはずした。
「またダメだ。」
「さっきから全然だぞ?」
「全然入んねーし、外国人ってのもたいしたことねーな。」
「…」(凄い集中力……。)
「なんなんだよ…コイツ…。」
「また外した!」
「なんだよもうムカつく…!」
「腐るなよ、ブロックされてるわけじゃねーんだ。ディフェンス!」
そう言い、走り始める新協学園のメンバー達。
「…」(でもこれ…火神君にも結構ストレス溜まるやり方だよね…。火神君だって、やりたいプレイができてないんだから…。)
「こっちだってストレス溜まんだよこのやり方はぁ…。」