第10章 少しずつ…
「うわぁぁ!!」
人混みにかき消されて、声が聞こえなかった。火神がそのままサーフィンを始めた。
「クロードサーフィン!」
「めちゃくちゃだが、いける気がする!」
「そうだ、波にのれぇ!」
でも…落ちてしまった。
「This is japanese lunch time rush!」
「もういいっつーんだよ、それは!」
「あの……買えましたけど…?」
『あ…。』
「おまっ…!どうやって…!?」
火神が黒子の胸ぐらを掴んだ。
「ん…人混みに流されてたら、先頭に出ちゃったんで、パン取って、お金置いてきました。」
「はい。」
呆れている火神の左手にパンを乗せた黒子。
「どうしたんですか?」
3人にも聞いた黒子。
「…」(テツ君ならやりそうだとは思っていたけど……。)
「いや、なんでもねぇよ…。」
「さすが幻のシックスマンは違ぇなぁ…。」
そして、屋上へ向かう。
「お疲れ~。ありがと、はい、ジュースあるよ?」
「これ…例の…。」
「あぁ、いいよ。お前らで食べな。」
「え…いいんですか…?」
「いいって、遠慮するな。」
「じゃあ、順番に…。誰から行く?」
「いや、今回はやっぱり黒子だろ?」
「じゃあいただきます。」
黒子がパンを一口食べた。
「!…これは……めっちゃ美味しいです。」
「!?…こんな幸せそうな黒子、初めて見た…!じゃあ、俺も。おぉ!うまっ!味のハーモニーってやつ?」
「どれどれ?おぉっ!ジューシーな豚にフォアグラの甘味とキャビアの酸味が…!!」
「俺はデカけりゃなんでもいーや。」