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ダイヤの原石-6Carat-

第5章 4carat*仲間


そう思い、さんごは校長に辞退を申し出ようと部屋を出ようとする。
しかしそれは、リーダーによって阻まれた。

「ダメだね。」
「…え?」

椅子に座ったまま腕組みをして俯き加減のざくろ。
表情はよく見えないが、声はかなり怒っているようだ。
さんごも思わずドアに掛けた手を離して振り返った。

「全然だめ。こんなんじゃ俺らの色なんか出せるはずないよ。始める前に解散した方がいいね。」

顔を上げたざくろは至極真面目な顔だった。
メンバーは全員ざくろの方へ顔を向けた。
中には「え?」とか「は?」とか間の抜けた声も出ている人もいた。

「何言ってんの?リーダーに任命されたからって偉そうなこと言って…」
「そもそも、先輩アイドルたちを追い抜くためには今までと同じじゃ無理なわけ。
先輩と同じことしたって、それは先輩達が引いたレールの上を走ってるだけ。
追い抜くためには自分達らしさを出さないといけない。
そのためにこの桃瀬さんが必要だって校長先生は言いたかったんじゃないのかな?」
「え…」

神経を逆なでされて怒り心頭の光黄に対し、冷静にざくろは言葉を重ねる。
それを聞いてさんごはなんだか拍子抜けしてしまった。

「リスクだなんだはこの世界には付き物でしょ。
それに怯えて安全なことだけで勝負する奴なんか絶対大物になれっこない。
俺はリスクでもなんでも、デビューが決まった以上はなんでも背負うつもりだよ。
やれるだけやってダメだったとしても、自分が納得できるまでとことんやってやる。
もしかしたらその先に、桃瀬さんが男装だって公表できる未来があるかもしれないし、なんなら男装が流行る未来だってあるかもしれない。
その可能性を今から自分達で潰してたら全然だめだよね。」

ざくろの口調は冷静だった。
でもその中に燃えるものがあって、彼は静かに怒りを帯びていた。

「うん…リーダーの言うとおりだね。俺、なんかやれる気がしてきた…!みっちゃん、やろうよ!」
「ひーくん!?」

翡翠は急に漲ってくるやる気を抑えきれないというように拳を突き上げて立ち上がった。
急な掌返しで光黄は呆気に取られている。

「素敵な考えデス。僕は何の為にここに入学したのか、忘れかけていたみたいデス。」
「ふん…。」

チャロも笑顔になってざくろの方を見た。
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