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ダイヤの原石-6Carat-

第5章 4carat*仲間


『というわけで、男装アイドルの試用運転として、この桃瀬さんごをこの男性グループに投入する。
もちろん男女混合グループを結成するのは異例の話で、校長である私自らが校則を違反するわけであるからして、最重要秘密となる。
ここにいるメンバー、スタッフ一同はこの秘密を固く守り、桃瀬君のことをフォローするように。』

「な~んて言ってたけどさぁ、僕は子守するためにデビューしたかったんじゃないんだけど。」

職員棟の小会議室。
そこに集められたデビュー前の6caratと専属マネージャー、専属スタッフ数名。
校長から直々にデビュー宣告を受けたものの、かなりリスキーな条件付だった。
そして後に残された6人は、無愛想なパイプ椅子に腰掛けたまま、思い空気に包まれていた。

口を開いたのは光黄。
D.R.S女子制服を着て、女の子らしく巻き髪にしたサイドポニーのさんごを上から下までジロジロと眺める。

「みっちゃん、そんな言い方しなくても…」
「じゃあひーくんはいちいち僕達がフォローしなくちゃいけない足手まといがいてもいいって言うんだ?」


光黄のとげとげしい態度に、重たい空気は更に張り詰める。
なだめに入った翡翠も光黄のデビューに対する憧れや想いを知らなかったわけではない。
幼馴染だからこそ、光黄の内側に秘めたぐちゃぐちゃした感情が手に取るように伝わってしまって、そのまま口を閉ざした。

「みんなはどうなの?せっかくここまで頑張ってファン付けてきてさぁ。なのに上手くいくかどうかもわからない、ううん、下手したら全員コケるような綱渡りのプロジェクトにされて。平気なの?」

光黄は立ち上がって全員を見回した。
藍は興味無さそうにぼんやりと外を眺め、チャロは思案顔で組んだ自分の手を見つめている。
しばらく沈黙が続き、チャロが口を開いた。

「僕達がそれぞれ頑張ったからコソ、Fanの子たちがついてきてくれテ、全て彼女のせいにはならないかもしれないですケド、彼女のせいで失うことになってしまうかもしれないモノは大きいとは思いマス。」

小さな部屋に、時計の音がやけに耳に響いた。
やがてさんごが口を開く。

「あの…私、やっぱり…」

デビューと聞いて飛びついてしまったけれど、メンバーの気持ちを何も考えていなかった。
とんでもないことに足を踏み入れてしまった。
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