第1章 六つ子の妹
「愛夢ちゃん、ちょっと中入って待っててくれる?お茶淹れてくるから」
松代さんは私にそう笑顔で言いながら父の靴を整える。
私の靴はちゃんと揃っているため、それをちらっと見るだけだった。
えっ、家族になるんだから私が淹れてきますよっ!と言いたいところだけど多分松代さんは父と2人きりになりたいのだろう……
松代さんは父の持っている紙袋をちらちらと見ながら父に何かを話している。
「あっありがとうございます……」
私はそそくさと中に入りテレビの前にちょこんと座る。
でも、1人だとなんか寂しいなぁ…
テレビつけたい……暇すぎる。。ぼっーとしてるだけじゃつまらない……
???「誰……?」
私が暇暇心の中で訴えていると…後から低い声が聞こえてきた。
「えっあっ……」
恐る恐る振り向くと、紫色のパーカーを着た髪の毛ぼさぼさな知らない人が私をじーっと見つめていた。
その人は眠たいのか目が半開きですごく怖いオーラを出していた。
???「誰って聞いてるんだけど?」
「すっすすすすいません!!私は今日からお世話になる中野愛夢です!!」
声が裏返ったぁああ!!恥ずかしい……
絶対変な人だって思われたぁあ!!
私が頭の中であわあわしていると
???「再婚のやつか……」
と、私を睨みぼそっと何かをつぶやいた。
「えっ何か言いましたか……?」
さっきの言葉が聞き取れず、聞いてみたがその人は何も言わず2階へ上がってしまった。
まさか……
頭の中でさっきの人が浮かび上がる。
「頭可笑しいな……」
その人はそんな言葉を言いにやにやと笑う。
頭可笑しいな……頭……可笑しいな……可笑しい…可笑しい。。
……オワッタ。
そんな事を思われていたら私は初日から愛夢=頭可笑しいヤツだと皆に変な目で見られる!
どうにかそれを阻止しなければ……
そうだ!
私は頭の中で何かを決意し、2階…いや戦場へと1歩踏み出したのだった。