第2章 可笑しい人
どんなに痛くても私は猫が傷つかないように守った。
痛い……逃げ出したい
そんな事を何度も思ったが逃げれるほどそんなに体力は余っていない。
「くっそ……疲れたぁ。。お前ら行くぞ」
私をフルボッコにするのが疲れたのかヤクザ達は退散し、どこかにバイクで行ってしまった。
「猫さん……もう大丈夫。悪いヤツらいなくなったよ」
私は猫に小声で言った。
「……生きてる?」
私はそう、声をかけながら立ち上がり路地裏に向かった。
路地裏には缶詰が6個ぐらい置かれてあったのを思い出したからだ。
「これ食べて元気出して……」
私はいろんな猫が食べたであろう缶詰を猫に近づけ、食べるのを待った。
だけどその猫は食べず。目をつぶって震えるだけだった。
「寒いの……?」
震えているのは寒いからだと思い体温が、ぬくもりが感じれるように優しくぎゅっと抱きしめた。
抱きしめると猫の体が冷えきっていることが分かった。
「大丈夫…大丈夫。一緒にいてあげるからね」
そう言い猫の頭を優しく撫でる。
野良猫だったら普通は嫌がるがその猫は何も反応を示さなかった。
その猫の息はだんだんゆっくりとなり、震えさえもあまり感じれなくなってきた。
「猫さん…猫さん…死なないでよ」
必死にそう訴えるが猫はにゃーすら鳴いてくれない。
「死なないで……っ」
一松「何してんの……」
そんな優しい声が目の前から聞こえてきた。
「一松……さん。。」
一松さんは心配そうに私を見つめる。
さっきの感情がこみ上げてきてとうとう私は目から大粒の涙を流してしまう。
猫には雨のように涙がぽつぽつあたる。
一松「その猫……」
「……ヤクザ達に虐められてたから私が救ってあげたの。。だけど……死んじゃう……」
一松「ヤクザ達?っ!またあいつら俺の猫に……っかして……その猫……」
一松さんはヤクザ達という言葉に反応しどこかを睨む。
「どうするの?……もう手遅れだよ?」
一松さんに猫を渡し、涙を袖でふく。