第5章 襲撃
ひとしきり落ち込んだ後
バスに揺られる最中
ふと
去り際の言葉を
思い出した
『……翔』
彼の名を口にしたのは
いつ振りだろうか
あなたがもし本当に
敵側に行ってしまったのならば
それはきっと
私のせいだ…
「おい」
隣から聞こえた声は
いつもより機嫌の悪そうな
「誰だよ、そいつ」
『……え…?』
窓に肘をつき
きつい目線だけをこちらに向けてくる
「いや、つーか、それよりてめえ
なんで突っ込んできたんだよ
死にてえのか?あ"?」
『ッそれは……』
いつにも増して威圧感が凄い
『……ごめんなさい…』
私だって
死にたくなんてないよ
でも
何も考えられなかったんだよ…
『あんたに…何かあったらって
ずっと……ずっと心配だった』
「ッ!!」
あんたを見たら
理性が飛んだのよ