第5章 襲撃
“迎えに行く”
その言葉の真意は…?
昨日の事を気に掛けてくれているのは分かるが、ヒーロー科の人間が普通科に顔を出せば
その対応は両極端だ
一つは羨望の眼差しを
そしてもう一つは
嫉妬に満ちた眼差しを向けられるだろう
しかもヒーロー科の教室と普通科の教室は少し離れていて
きっと爆豪なら面倒臭がるような距離の筈なのに
そんな事を悶々と考えていれば
すぐにお昼の時間がやって来た…
「…待ってんのか?」
『…うん』
「なら、そろそろ…」
ガラッ
乱雑に開けられる扉に
見なくても誰が訪れたかは明白だった
『爆豪…』
「…来い」
やっぱり言葉数が少ないよ
不満も浮かぶがそれよりも
身体は爆豪の元へと傾いていた
教室内が今までにない程騒ついているが
私の耳にはもう届かない
『どこ行くの?』
「…」
返答は無かったが爆豪はすでに歩き始めており、神奈はただそれについて行くことにした
廊下を二人で歩いていると
周囲はまたざわつき始め
今度は気付かないふりをして
彼の斜め後ろに
必死でついて行く
そして辿り着いた先は
なんとヒーロー科の教室だった
「入れ」
『…え、マジでかお前』
なんであんたの教室まで連れて来たのよ
今更な質問をする
「昼飯、食うぞ」
『それ、私の教室でも良かったじゃん…』
「あ"ぁ!?あそこだとあの隈野郎が居んだろが!!」
『一緒に食べればいいじゃん』
あぁクソッ
爆豪は面倒になり
神奈の腕を掴み、無理矢理教室へと引き入れた
瞬間、教室は静まり返る…