第4章 サイレン
「ねぇ、お話しようよ」
遂に壁際まで追い詰められ
顔の両サイドに手をつかれた
『…っ』
迂闊に身動きが取れないまま
男は構わず言葉を繋ぐ
「君の、その個性はさ…時間を戻す個性なの?」
恐ろしい顔に見下ろされるが
神奈は頑なに口を紡ぐ
その様子に男は苛立ち
その五指を壁につける
すると途端にすぐ側の壁が
塵になって崩れ落ちた
そして男はその五指を
今度は私の顔に近づける
『っや!!』
青ざめる私の目の前で
男はその手を止めた
「…で?」
どうなの?と男は至極楽しそうに笑う
言わなきゃ殺される
神奈は震えるその唇を
なんとか動かした
『わ…私の個性は…た、だの…ただの「復元」の個性です……戻せるのはほんの1、2分程度で…ッだから!!』
「…なんだ…思ったより有用じゃないな……」
男は至極残念そうな声を出し
「じゃあ要らないや」
五指を近づけてくる
その瞬間
私は意を決してしゃがみ込み
顔を床につけ、舐めた