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【ヒロアカ】世も縋ら

第12章 再起



母は私を抱き寄せひたすらに涙を流し、父は震える声で「よかった…本当によかった…ッ!」と繰り返した。

たくさんの心配を掛けてしまったと、胸が締め付けられ言葉も出なくなってしまった。

家族三人で、時間も忘れて抱き合った。


涙が枯れて安堵の色が両親の顔に浮かんだ時、そこに翔が現れた。


彼は病室に入るなり額を床に擦り付けて、何度も何度も謝罪の言葉を吐く。

自分の所為で、神奈さんを危険に巻き込んでしまったと。
自分の所為で、彼女の未来に傷をつけてしまったと…。
そう何度も何度も謝り続けた。
止めに入る両親に、彼は事情を一から話す。引っ越してからのこと、警察組織の一員であること、潜入捜査のこと、そして私を連れ去った経緯…それら全てを粛々と語った。
神奈が、そもそものはじまりは自分だと弁明するも、翔はただひたすらに両親に頭を下げ続けた。

そんな翔に両親は、ガツンと一発の拳を喰らわせ、諤々と言い放つ──…


「兄が妹を守ろうとするのは当然だ」──、と。


翔はその言葉に目を瞠り、啞然とした。

幼い頃から多くの時間を凪山家で過ごしてきた。翔もまた、神奈を家族のように慕ってはいた。しかしまさか、彼女の両親までもが、自分の事をそんな風に思ってくれていたなんて、考えもしなかったのだ。

翔は両親を幼い頃に亡くしている。そんな彼にまた両親が出来るだなんて…。


彼は目を見張ったまま、涙を流した。


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