第12章 再起
入院中はただひたすら取り調べの毎日で、自由にできる時間は限られていた。そんな中、友達と名乗る人達が代わる代わる訪ねてくれて、彼らは私の失くした日々の記憶を楽しそうに語ってくれた。
その中で分かったことは、私は雄英高校の普通科に通い、妙齢ヒーローのリカバリーガールに師事を受けていたようだ。自分の事ながら、それを聞いた時には自身の行動力と実行力に少し感心してしまった。
面会が許されて一日目に来てくれたのは、同じクラスの心操くんと、ヒーロー科A組の轟くん、そして…遠方から来た私の両親だった。
心操くんは泣きそうな顔をしながらも、改めて自己紹介からはじめてくれた。彼は私が不在の間のノートをとってくれていたようで、それを渡してすぐ「また来る」とだけ残し帰ってしまった。
轟くんはというと、病室に入るなり私の顔をペムペムと触り尽くし、ボソッと一言「本物の神奈か…?」と聞いてきた。彼曰く、林海合宿先で偽物の私と遭遇したとかなんとか…。おそらくトガヒミコの個性で私に変身したのだろう。身に覚えがなくも無かった。本物と確認が取れると彼は日々の取り止めのない話をして去っていった。なんとも不思議なオーラを放つ人だ。
そして夕刻頃──…両親が病室へ駆けつけた。