第11章 償い
優しく微笑む翔に爆豪は、
「お前、まだ神奈のことーー…」
“好きなのか?”
その言葉は音にはならなかったが翔には十分伝わったようで
彼は無邪気に笑って見せた
「安心しなよ、神奈は家族だ」
大事な、大事な…僕の妹
血の繋がりこそないけれど
それ以上に濃い時間を共にした
それ以上に深い愛を、共有した
「身体も、命も懸けられる。あの子の為なら、僕はなんだってね」
なにが彼をここまでさせるのか
ただ二人は物心がつく前から共に時を過ごしてきた
そして悲しみも寂しさも、二人で共有してきた
「彼女が僕を、ヒーローにしてくれた。きっと君も、そうだったんだろう?」
翔は
早くから両親を亡くしていた
幼い頃から祖父母と、そして隣家だった神奈の家族と共に育ってきた
理由はただ、それだけで
それだけで、十分だった