第11章 償い
『…やっ…た……』
視線の先には両の脚が並んでおり
以前の姿を取り戻していた
幻でも見つめるように
元通りの翔の脚をじっと見据える
『っっっ!!!』
腹の底から現実が押し寄せて
声にならない声を上げる
「神奈…っ」
三者三様に感極まり、言葉に詰まる
『っっ!!』
「ありがとう神奈…ッ、本当にありがとう……ッ!」
『私の方こそ…っ、遅くなってごめん…っ、ごめんね翔…!』
翔を抱く手に力が籠り
スルリと力なく垂れ下がる
「…あ、」
空気に合わぬ素っ頓狂な声を出したのは翔だった
それもそのはず、胸の中に飛び込んできた神奈は脱水症状を起こして気絶していたからだ
「なっ!!!こンの雑魚がァ!!!」
爆豪はいち早くそれに気付き、咄嗟にナースコールを連打する
対して翔は冷静に、ベッド脇の水を神奈の口元に流し込み、嚥下させる