第11章 償い
『…爆豪、ありがとう』
「あ?」
仮にも好きな人に、きつい言葉を掛けるのは
私には想像も出来ない程、勇気のいる事だったでしょう
それでも力尽くで私を起き上がらせ、欲しい言葉とは反対の
必要な言葉を投げ掛けてくれた
貴方はきっと、私以上に私の事を
大切に思ってくれている
『ありがとう…翔』
震えはもう止まっていた
視線はもう下を向いてはいなかった
温かい手の平から勇気を貰った
救うしかないんだ
私はもう
この個性を持って生まれたその日から
自分だけの人生ではないのだから
ない勇気を振り絞るしかない
震えながらでも進むしかない
これ以上、逃げる道なんて残されていない
そう生まれたんだから
そう、望んだんだから
翔、大丈夫よ
絶対に失敗なんてしないから
『私を、信じて』