第11章 償い
握りしめる手は暖かく
背中に回された手は優しく歪に添えられる
紺碧の瞳は真っ直ぐこちらを射抜いて離さず
隣の男は複雑そうにこちらを睨む
ねえ、翔
あなたの事が何より大切なの
ほんとはそんなお願い聞きたくもなかった
治したいよ、全て
何不自由なく簡単に幸せを享受できる体にしてあげたい
『消えちゃうかも、知れないのよ…?』
「そんなことにはならないよ」
『ミーはダメだったんだよ……ッ?』
「今の神奈なら大丈夫」
どうして平然としていられるの?
どうして平気で微笑むの?
どうして 私なんかを信じてくれるの…?
最初の勇気は、爆豪から
最後の勇気は、翔から貰った
もう嫌なの
全てを消してしまうことに萎縮して
助けたい人を助けられないままなんて
そんな弱い自分はもう
捨ててしまいたい