• テキストサイズ

【ヒロアカ】世も縋ら

第11章 償い




「覚えてるかな、猫の…ミーのこと」

『…もちろん』

「君を、すごく傷つけてしまった」


突然語り出す昔の話
互いにとっての苦い記憶

爆豪をチラと見遣るが、思索の素振りはなく
そんな過去ですら、既知のものだということを
表情が語っていた
どこまで私は、彼に話して、頼っていたのだろうか




「無理に個性を使わせなければって、ずっと後悔してたんだ。神奈の個性は、とっても貴重なもので、多くの人を救う使命にあるものなのに…。僕が、その足を引っ張った」


『そんな風に言わないで…』


声が震える
私のせいで、貴方を苦しめているというのに


「脚を失くして思い至ったんだ。君の為に…僕に出来る、最後の贖罪」

『……え…?』

「この脚を、元に戻して欲しい」

『ーーッ』

「たりめェだ。そん為に引き摺ってきてんだよ」


隣の男は無茶を言うけど
神奈…君には酷な願いだというのは重々承知してるんだ
だけどこれは自分の為じゃない
君に捧げる、僕の命を賭けた一世一代の大勝負


震える君の手を強く握るよ

小さくなるその背中を包み込むよ

怯えるその瞳を 真っ直ぐ見つめるよ


ねえ、神奈
助かるはずもなかったこの命を、もう一度、君の為に使わせて欲しい。

でも失敗はさせない。
絶対にしないよ、大丈夫。

僕はずっと、ほんとにずっと、君を見てきたから知ってるんだ。
君は、君が思っているよりもずっと強い人で、たくさんの人を救ってきたって。

だらかもう一度だけ
君に言わせて


お願い…

お願いだよ、神奈…本当に、本当にこれで最後にするから…
どうか僕に、神奈のトラウマを失くさせて





「どうか僕を

もう一度、信じて」


/ 291ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp