第11章 償い
翔は「ふう」と一息つくと
優しく微笑み、今までで一番、優しい声を出す
「じゃあ今後は、そのように頼むよ」
僕以外にも、彼女を想う人がいる
今までだって居たには居た
だけど彼は、彼にならー…
生まれて初めてだったかも知れない
正確には、彼女と出会って以降、初めてだったのかも……
体が、軽く感じたのは
別に嫌だった訳じゃない
むしろ
本当に、心の底から
これが僕の生まれた意味だと信じてきたんだ
本当に、それが誇らしかったんだ
だけど、どこかで
失敗を恐れる“僕”がいた
きっと爆豪くん…
君には、そんなことを思う隙間すらないんだろうな
実力も、想いも、勇気も覚悟も
君には全てが、十全とあるのだろう
後一つだけ
僕にはあと一つだけ、やり残した責務がある
それさえ果たせばもう
あとは君が
バトンを繋いでくれるかな