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【ヒロアカ】世も縋ら

第11章 償い





ガッと、容赦なく怪我人に掴み掛かる爆豪
神奈が咄嗟に間に入るも、彼女の非力ではびくともせず

睨みつけたまま、彼の声は冷たい床を這う

「コイツが攫われて、俺がどんな気分だったか想像出来るか?
コイツへの世間の見方がどう変わったか、分かってんのかァ?!あァ!?」

「そんなの…」
「些細な問題ってか?!」


翔がやらずとも、黒霧を擁する敵連合にはどの道彼女は攫われていた。
そんな事、爆豪は充分に理解している。
だが理性で理解していても、それは感情とは別なのだ。


「これからコイツが…ッ、どんな苦労するか……、テメエ本当に分かってんのか?!!」

『やめて爆豪…ッ』

微動だにない爆豪の腕を、神奈はそれでも力尽くで止めようとする
熱の上がる二人を他所に、翔はただ冷静に、正しい言葉を探る


「……勿論…。手を、尽くすつもりだよ」


そんな彼の様子に、爆豪は立てた青筋から血が噴き出す勢いで怒鳴り散らす

「そもそもテメエが護んなくてもなァ!俺がやるってンだボケェ!!!」

「ーー…!」



爆豪のその堂々たる言葉に
翔の仮面が遂には剥がれ

子どものように破顔した


「っ…は、はは…っ!」


「なに笑ってやがんだァ!!!」

「ごめんごめん…っ!、悪気は無いよ。ただ、つい。」


神奈も、彼のこんな表情は今まで一度も見たことがなく
呆気に取られてしまう
彼女の知る翔の姿は、常に大人びた兄らしいもので
年相応か、それ以下に見えるそんな顔を
想像すらもしたことがなかったのだ


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