第4章 サイレン
『…ということで』
「ッ!!」
『爆豪くん、こちらクラスメイトの心操人使くんです。怖い顔しないで』
フレンドリーフレンドリーに
とほだそうとするが
「んでてめも付いて来てんだよ!!!」
「別に良いだろ、神奈だってお前と2人で食うよりは幾分気が楽だろうしな」
『あれ?2人知り合いだったの??言ってよねー』
「てめえは黙ってろ!!!」
『すみません』
私は1人、蚊帳の外にされたが
その後も2人は数分間言い争っていた
私はそんな彼らを置き去りに
先にメニューを選びに行く
『…あの、お蕎麦ください』
「あいよー!」
注文しつつ
空いている席を探す
うーん…
やっぱり3人席はなかなか無いなぁ
どうしようかと考えていれば
前に並んでいた人にぶつかってしまった
ガッシャンと派手な音を立てて
彼が持っていた食器を
落とさせてしまった
『ッあぁ!!すみません!!』
怪我とか!?服汚れたりとかも!!というかせっかくのお蕎麦が台無しに!!!
1人狼狽えていると
「おい」
と頭上から低い声が降ってくる
「俺は大丈夫だ。お前こそ、服汚れてねえか?」
そう心配してくれる彼は
とてもイケメンな
オッドアイの少年だった
なんだこのイケメンは
対応までイケメンじゃないか
などと、ぶつかっておいて何を呑気な事を考えているんだと我に帰る
『あの、そのお蕎麦、元に戻しますね』
「?」
彼はよくわからないと言ったような顔をしていたが
構わずその落ちた蕎麦を一本掬い上げ
口元へと持ち上げた
そして私が軽く舐めると
お蕎麦はトレーの上の綺麗な状態に
姿を戻した
「…これは」
少年は目の前で起こった出来事に
目を剥いていた
『私の個性なの、あ!でもこれは私が食べるから!貴方は私のお蕎麦食べて?』
落ちたやつを食べるのは
いくら復元したからといっても
嫌だろうと思ったからだ
「いや、別にそこまでは…」
『いいの!私が悪いので!』
そう言うと彼は
渋々引いてくれた
自分のお蕎麦をイケメンに渡していると