第11章 償い
「はあああああーー……ッ」
張り詰めた空気を壊すよう
もらされた溜息は異常に大きく
そして吐き出した本人は
なぜか異様に不機嫌さを醸し出していた
『ば、爆豪…?』
「さっきから聞いてりゃテメエよォ……ッ」
ワナワナと震える彼の体は
背を丸めている為
表情を窺うことは叶わない
「爆豪くん…?」
どうしたの…?と苦笑う翔
元来、我慢など
彼の性分に合っているはずもなく
それを、神奈が誘拐されてからずっと強いられてきたのだ
寧ろよく保った方と考えるべきことであって
つまり、彼は今
ーー…堪忍袋の緒が切れたのだ
「俺に謝れ、謝罪しろ、平伏しろォッ!!!」
「『……え…?!』」
突然の咆哮に、怒鳴られた両者はただ一様に困惑した