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【ヒロアカ】世も縋ら

第10章 白紙





『……あのぉ………』




控え目に発された声は、対面に座る不貞腐れた爆豪に向かって落ちていった


一旦翔の病室を去り、私の病室前ろうかで離れて座している


『……ねえ、ごめんって。殴って』

「謝って済んだらヒーローは要らねえ」

『ご、ごめんってば』


プイと逸らされた頬が少し赤らんでいる
思い切り行き過ぎたみたいだ


『……ねえ、嫌じゃなかったらだけどさ……頬、治させて貰えない…?』

その言葉に彼は小さく反応し、やっとこちらを見てくれた


「する必要ねえ質問すんじゃねェ」

『はいはい…』


なぜこの男はこうも高圧的なのか…

重い腰を上げ、男の隣にそれを降ろす
赤くなった頬に手を添えて舌を近づける
顔が離れた頃にはそこは、数分前の色に戻っている

『…よし』

安堵し、隙が生じた

男の眼光がこちらを睨み
離したはずの顔がグイと引っ張られる


『…――!!!??』


迫る男の顔
存外それは整っていて
不覚にもどきりとしてしまった



きつく目を閉じ、衝撃に備えると
ペロリと生暖かい何かが唇を這った


『ッッッ!!!』




何かは、見ずとも分かった



『な、な、舐め……ッッ!!??』


未だ近距離にある爆豪の顔
したり顔で舌なめずりをする姿は
もはやヴィラン顔負けだ



「これでチャラにしたらァ」

『変ッ態!!!!!』

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